
「仁に過ぎれば弱くなる。
義に過ぎれば固くなる。
礼に過ぎれば諂(へつら)い
となる。智に過ぎれば嘘をつく。
信に過ぎれば損をする。」
(伊達政宗 戦国武将)
儒教では、いわゆる「人間力」を
5つの要素に分類しています。
これが、「五条の徳」である
「仁義礼智信(じんぎれいちしん)」です。
「仁」は優しさ、「義」は人としての正しい道、
「礼」は礼節、「智」は善悪を判断する知恵、
「信」は言行一致の姿と言われています。
「五条の徳」においてもっとも大事なのは、
そのバランスを保つことです。
中国には、行き過ぎた「仁」を戒める
「宋襄の仁(そうじょうのじん)」
という言葉があります。
春秋時代、宋と楚が争っていたとき、
楚が布陣を終わらないのを見て、
「攻撃するチャンスですよ」と
宋の襄公に進言する部下がいました。
しかし、襄公は
「君子は人が困っているときに、
これを苦しめてはならない」と
言ってこの進言を退け、
結果的に戦いにも敗れてしまいました。
このように、「五条の徳」もバランスを欠くと、
かえって周りへの迷惑になりかねないと
いうことです。
儒教では、「中庸(ちゅうよう)」が
ことのほか重んじられているのも当然のことです。