
「世に恐ろしいのは、
勇者ではなく、臆病者だ。」
(徳川家康 征夷大将軍)
一般に、臆病者はたいしたことがなく、
勇者こそ大物であると考えられがちです。
しかし、それは非常に浅いものの見方と
言わざるを得ません。
内面に臆病さを持ち合わせない勇気は、
ただの蛮勇(ばんゆう)です。
臆病さを知らぬ人間は、慎重さを欠くがゆえに
我が身を滅ぼします。
すなわち、臆病さとは己の「身の丈」を
わきまえようとする「知性」に他なりません。
人は臆病だからこそ、真剣に自分を磨き
向上し続けることができるのです。
大胆不敵に人生を呑んでかかる人は、
現状に甘んじてしまい、ついに何事も成し遂げずに
終わります。
また、「窮鼠(きゅうそ)猫を噛む」
という言葉があるように、臆病者は追い詰められると
思わぬ大胆さを発揮して別人になることがあります。
臆病の裏には勇気が隠れており、
勇気の陰には臆病が潜んでいるのです。
すなわち、勇気と臆病はコインの裏表のようなもの
であり、同じ性質を別の角度から光を当てた
名称に過ぎないのです。