
「自分や周りにある影に
目をつむり、光ばかりを
見ようとする子どもたち。
それは幸福でなければ
ならないという強迫観念に
取りつかれた社会が生んだ
産物でしょう。
光しか見ないから、
ちょっと影に入るとイライラ
したりキレたりする。
それは決して幸せな姿とは
言えません。」
(曾野綾子 小説家)
一昔前に、物事のいい面だけを見る
「プラス思考」という考え方が流行りました。
確かに、悪い面ばかりに光を当てるよりも、
考え方や生き方が前向きになります。
しかし、物事のいい面だけしか見ないのは、
「世界の半分」に目をつぶるということです。
いわば、「臭い物には蓋」をした結果、
時折顔を覗かせる「影」の存在に
脅(おびや)かされるようになったのです。
そもそも、「光」は「影」があるからこそ存在できるのです。
「影」を悪いものとして切り捨ててしまえば、
「光」も同時に消滅してしまうことになります。
同様に、「影」は「光」があるからこそ存在しているのです。
すなわち、「影」から目を背けるのは、
あなた自身を否定することに他ならないのです。