
「戦に勝るかどうかと兵力は、
必ずしも比例しない。
比例するかどうかは戦術、
つまり自分自身にかかって
いるのだ。」
(織田信長 戦国大名)
戦いは、畢竟(ひっきょう)数で決まります。
これは、千古不磨(せんこふま)の真理です。
織田信長が、少数の精鋭を率いて今川義元の首を
挙げたのも、実は大きなギャンブルでした。
しかし、以後の信長は、二度とこうした
イチかバチかの奇襲には手を染めていません。
同じ手が二度通じるほど戦争は甘くはないことを、
信長はよく知っていたからです。
戦(いくさ)の正攻法は、つまるところ
圧倒的な数と物量で相手を制圧することに
あります。
旧日本軍がアメリカの前に屈したのも、
結局は数の勝負に負けたからです。
しかし、古今の歴史を紐解けば、
必ずしも数が勝利するわけではないことも、
また事実です。
三国志に出てくる「官渡(かんと)の戦い」では、
袁紹軍10万に対し曹操軍はわずかに1万で
これを破ったとあります。
ただし、これは曹操が数の勝負に勝利したことには
当たりません。
袁紹側の弱点に一点集中攻撃を行った結果、
ようやく手にした薄氷の勝利に過ぎないのです。