
「ある局面になると
ものすごく愚かなことが
できるというのが
人間なのです。
善悪二つのモノサシしか
持っていないと、
人間は非常に生きづらさを
感じるものなのです。」
(吉本隆明 思想家)
「綺麗は汚い。汚いは綺麗。」とは、
シェークスピアの戯曲「マクベス」に出てくる
魔女のセリフです。
「綺麗さ」は「汚さ」を内包し、
「汚さ」は「綺麗さ」を内包する。
一見相反する「綺麗」と「汚い」は、
分かち難く結びついている、という意味です。
万物は、常に二面性を有しており、
「白と黒」「善と悪」などのように、
絶対的な価値観で明確に区分できるものなどありません。
崇高な考え方の中には低俗さが潜み、
低俗な考え方の中にも崇高さが宿ります。
欠点のない人間が存在しないように、
長所が見つからない人間というのも存在しないのです。
「白か黒か」で割り切れるのは、
ルールブックや法律の世界だけです。
「白は黒で、黒は白」というのが、
まっとうで血の通った私たち人間の住む世界なのです。