「人生の理不尽さに
遭遇したとき、
やがて日本人は
こう口にします。
『しかたがない』と。
この言葉の中に私は、
日本人の強さと
生きる知恵をみる思いが
するのです。
『しかたがない』という
言葉は、英語の中には
ありません。
『しかたがない』と
日本人がつぶやけば、
アメリカ人はこう言います。
『どうして諦めるんだ。
逃げてはいけない。
どんな過酷なことが
あったとしても、
ベストを尽くせば
必ず立ち直ることができる』と。
日本人はけっして
諦めの気持ちでこの言葉を
発しているわけではありません。
この世の中には
人知を超えたものがある。
自分の力ではどうしようも
ないことがある。
そのことに抗っていても
道は見えてこない。
まずは受け止めること。
理不尽さや過酷な状況を
心でしっかりと受け止め、
そこから覚悟を決めて
歩き始めること。
その覚悟こそが、
日本人の底力なのだと
私は思っています。」
(坂東眞理子 官僚)